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黙々とただ削るだけの時間 馬場健一

こんにちは、サトヴィカで自然ガイドを担当している馬場です。

先日、部屋を飛び出して小枝削りのために奥多摩まで出かけました。

森林セラピーガイドで奥多摩の森へは通い慣れているので個人的なセルフケアのために毎月、季節や気分に適した森を選んで訪れています。

自分にとっては社会生活から少しの間だけ離れる大切な時間です。

スケジュールを決める時には、自然に触れる時間をできるだけ確保することで健全な思考づくりに役立っていると感じています。

自然の中に身を置くといかに外側から得られる情報に振り回されて生活しているのかに気づきます。

日の出とともに家を出て、森に入る前にスマホの電源をオフに切り替えるのもポイント!

今回楽しみにしていたのがスギやヒノキなど針葉樹の小枝をひろって自然の中で削ること。

針葉樹の木の香りには、副交感神経にスイッチを切り替える作用が認められています。

室内で常緑広葉樹クスノキの小枝削りをしている時から森の中で針葉樹の小枝でもやってみたいなあと想像していたのです。

できるだけ乾いているスギの枝を数本選んでひろいました。そしてお気に入りの滝場で削りをはじめます。

削りの合間には、滝の音や野鳥の鳴き声、風が吹くと葉ずれの音が耳の緊張をほぐしてくれます。

また、秋の澄んだ空気を吸い込んだり、青空を見上げたりしていると呼吸が空間に拡がっていくよう。

ふとっ、仕事のことや雑念が浮かんでくることもよくあります。

そんなことを繰り返ししていると・・・

自然音も雑念もボリュームが下がっていくように、だんだん遠くに感じるような感覚に入ります。

自分は黙々とただ小枝を削っています。

削りながら木の感触、刃の角度や力加減など一削り一削りの感覚はより研ぎ澄まされてきていることに気づきながら手をすすめていました。

 

けずって
さわって
かいで
みつめて
また、けずる
ただ、その繰り返し、繰り返し。

 

気がつけば時間の感覚を失っていて、ハッと自分の今居る場所を確認し、時計に目を移して時間を取り戻しました。

辺りを見渡すと到着した時の滝場と自分の関係に変化を感じていました。

自分のからだの声を聴くとちゃんと自然の中に存在している、そんな感じがしました。

あっという間に5時間は森に遊んでもらっていました。

昨日までの余計な神経の緊張が解放され、自然界から全身に生命エネルギーが充電されました。

森林医学では月に4、5時間快適な自然環境で過ごしていると免疫機能が高い状態を維持できるという効果が証明されていますが、実体験で理解する瞬間です。

皆さん、自分の健康と幸せのために自然に触れることの必要性について少しだけ考えてみてください。

それでは、良き秋の恵みを~